まるで滝

今朝、仕事に向かう準備をしていると、窓の外から雨音が聞こえてきた。
僕は、徐々に不機嫌になってしまう。
蒸し暑いレインコートを着なければいけない、着ていても水が入ってくる可能性もある、
ぬれた路面をバイクで走るのは危険が伴う、などの理由があるので、不機嫌になるのはしょうがない。
仕事ですから。僕は家を出る。
雨は降っている。
順調にバイクのエンジンはかかり、走るのだが、路面がぬれて危ない。
しかも、雨の粒が顔や、唇にあたると痛い。
雨の日のバイク通勤は厳しい。


桃山南口駅前の踏み切りで足止めされてたとき。
歩道に目をやると、不思議な人がいた。
どしゃ降りになってきた雨の中を、傘もささずに歩く女性の姿。
うしろ姿しか見ていないが、ファッションを見ると20代の前半であろうと、想像する。
見た感じ、俗に男が表現する「イイ女」風の女性である。
そんな人が、なぜびっしょびしょになって、歩いているのか、
身に付けているものすべて、当然下着もずぶ濡れになっていたであろう。
雨宿りもしない、走りもしない。
なぜだ。
まるで滝のような雨のなか、彼女は京阪桃山南口の改札口へ入っていった。
そこまでしか僕は目撃していないが、その後の彼女の状況はどうなったのだろう。
駅のホームでは、電車内では、そして彼女はどこに向かっていたのか?
僕には知る由も無い。


僕は、滝のような雨の中を職場まで進む、15分程度の道のりだが、遠い。
雨は容赦なくぼくの体を打ち付け、バイクのタイヤがはじいた路面の水は、靴の中へと進入してゆく。
ゴーグルは濡れて、前が見えなくなる、霧の中を走っているように。
そんな中を注意を払って、ゆっくり走行し、
ほうほうのていで、事務所についた。
靴を脱いでひっくり返すと、靴から水が流れ出た。
シャツも、リュックの中もびしょびしょになり、
うなだれていると、
雨が小降りにになり、やがて止んだ。
とてもタイミングが悪く、不運ではありますが、
たまにはいっか、大自然の激しさを感じれたってことで、
そういや、謎の彼女も大自然の激しさを感じていたのかなぁ。
こんど大雨の時には、Tシャツと短パンで雨にうたれたいなぁ。
みんなも一緒にそんなことしない?「大自然の激しい雨に打たれる会」
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