友達がバーで歌うって

友達が「バーで歌うからきませんか」ってメールをくれた。
他に用事は無く、家にいてもテレビを見るだけなので、行くことにした。
誰かが、何かに誘ってくれるのはすごく幸運なことだと思う。ありがたいことだと思う。
理由も無く街に出ると、大勢の知らない人の流れで、すごく寂しくなる。
理由があり、行く場所があり、そこに知っている人がいる時は、人の流れは邪魔だと思う。
四条駅を降りた時間は、遅刻かギリギリ間に合うかの瀬戸際だった。
人の流れをすり抜けて、早足で御幸町のバーへむかう。
IT'Sという名のバー
インターネットの時代だから、行ったことの無い店でも、誰に聞くことも無く辿り着ける。
でも、店に到着したのは、開始予定時刻の21:00だった。
店の椅子はすべてうまっていて、立ちでよければどうぞ、とのこと。
カウンターのみのその店は、おおよそ20人入ればいっぱいぐらい、
その店の奥に、歌う準備をしている友達を見つけた。
友達も店に入った僕を、すぐに見つけてくれた、
僕は他のお客さんを見回したが、知ってる人はいなかった。
共通の友達が来ているかと思ってたのに。
僕はテキーラサンライズを頼んだ。
演奏が始まった。
ピアノ演奏者一人と歌う人が二人、そのうち一人が僕の友達で、もうひとりは以前に一度見たことがある。
アルトとか、ソプラノとか僕はよく分からないけど、二人が別のパートを歌っているのはわかった。
ディズニーソングの何か、「美女と野獣」なのか「アラジン」なのか、曲名も正確にはわからない。
ただ、20人規模の小さな店内に響く、生の歌を聴きながら、酒を飲んでいることと、その幸福、
そして、歌っているのが僕の友達であるという事実と、その嬉しさは、たしかに僕はわかる。
その幸福と、嬉しさを感じれたから、僕は友達に深く感謝した。
僕は金銭感覚がしっかりしてる、悪く言えばケチなんやけど、
その僕が、2杯だけでやめておこうと思ってたのに、3杯目をおかわりしてしまった。
心地よい時間と、心地よい酔い加減、それはすべて友達と、友達の心地よい歌声のおかげです。
ありがとう。